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「宇津木が不動産業の会社に勤めているから頼むんだけど」
「俺はビルのフロアやマンションの空いた所を埋めるのが仕事だ。それ以上のことはもうごめんだぞ。借りを返したどころか釣りをもらいたいぐらいなんだからな」
「まさに、その仕事だ。村上に住む場所を紹介してくれないかな」
「保証人なし勤め先なしでか? そりゃあどうかな。普通に考えたらアウトだ」
宇津木はため息をついた。
「まあ、なんとかやってみるよ。あんまり期待はするな。オレはたいした力もないコネ入社のペーペーなんだから」
「すまない」
「お前が頭を下げることじゃない。頭を下げるとしたら村上だろう? あの女はプライドが高いから俺なんかに頭を下げて頼み事なんかしねえだろうけど」
「プライドなんて何の役にも立たないって、村上だってもうよくわかっているはずだよ」
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