僕は君に会いに行くよ

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「でも、プライドをなくしたらそれはそれでしんどいぜ」  鮮やかな黄色いマンゴープリンをふるふるすくいながらつるりと飲み込む。 「なんだこのやろう今に見てろって気持ちがないと、東京ではやっていけない気がするね」  金髪でだらしない服装だった(シャツをズボンの上に出し、靴は踵を潰しスリッパみたいにひきずって歩いていた)あの頃の宇津木にもプライドはあったはずだ。  それは今、どう変わったんだろう、それとも変わっていないのだろうか。  そもそも僕は宇津木のことをよく知らない。  なるべく目を逸らせ、視界に入らないようにしていたから。
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