天音先輩の告白

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天音先輩の告白

 高校に入ってから、ずっといじめられてたんだ。私の言動がウザイっていう理由でずっといじめられてた。無視されてたり、陰口言われたり、個人情報をネットにばらまかれたり、色々やられたね。言い出したらキリがないくらいだよ。  言動がウザイって言われたから、どうしたら不快にならないか考えてみたんだけど、そんな簡単な話じゃなかった。  頑張って猛勉強して入った高校だったから、途中でやめるわけにもいかない。でも、学校に行くのもしんどくなっちゃって。そうしたら、もう死ぬしかないかなって思うようになった。ずっとずっと死ぬことしか考えない日々が続いた。  その日はとても天気のいい日だった。雲一つなくて目が痛くなるほど青い空が広がっていた。綺麗すぎて自分が責められているみたいに思えて、飛んでしまったんだ。そして、失敗した。きっと運が良かったんだろうね。頭の傷は残ってしまったけれど。助かってしまった。  それで、次は自殺スポットで有名な渓谷に行ったんだ。確実に即死できるようなところにね。でも、また死に損なった。吊り橋から飛び降りようとしたところを人に見つかった。  今でも忘れられないね。その人が私に言った言葉。「ここでできるバンジージャンプなら何回でも飛び降りていいから、今は飛び降りないでくれ」って言ったんだよ。後から知ったけれど、そこはバンジージャンプができる渓谷だったんだ。  それを聞いて拍子抜けしたよ。「生きてればいいことある」「死にたいなんて言うな」とか、そんな毒みたいな言葉ばかり聞いていたから、びっくりして力抜けた。  その後、その人が何時間も話を聞いてくれてんだ。「辛かったな」「苦しかったな」「もう十分頑張ったんだから、頑張らなくていい」って言ってくれた。見ず知らずの他人なのに私の気持ちを肯定してくれたことが、嬉しくて嬉しくて涙が止まらなかった。
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