運命の出会い

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運命の出会い

子供の頃から猫が好きでした。 ずっと猫を飼いたいと思っていましたが、 父親が猫嫌いで犬は飼っていたものの、猫は絶対ダメな家庭でした。 家の裏には父方の祖父母が住んでおり、 そこは野良猫が自由に出入りして おばあちゃんがカリカリをあげたりしていたので、 敷地に親子の猫が住み着いたりしていました。 私はその野良猫ちゃん達と遊ぶ事で、 猫飼いたい欲をなんとか凌いでいました。 そして私は大人になり、結婚して実家を離れましたが、 その頃の父親は元々患っていた持病の影響で すっかり元気をなくしていました。 鬱も発症していたので、一日ぼんやりしているだけの日々。 「何かペットでも飼えば少しは元気も出るんじゃ?」 そう思った私は犬は散歩が大変だし、 病人にはテンション高すぎると思ったので、 猫がいいのではないかと思ったのですが、なんせ猫嫌いの父親。 「いや、猫は可愛いし、飼えば絶対可愛くなるはず!」 そう思いながらネットで猫の里親募集サイトを見始めました。 白や黒やトラやブチ。 いろんな毛色の猫がいて、どの子にしようか迷います。 「そういえば三毛猫って可愛いよなぁ」 ふとそう思った私は三毛猫にターゲットを絞りました。 しかし、三毛と言っても様々。 「どうしてそこに!?」と言いたくなるような 顔の独特な位置に模様が入ってしまっている子や、 境目ふんわりパステルカラーの三毛。 私が思い描くようなくっきりはっきり三毛ちゃんは 意外と少ない事に気がついたのでした。 意外といないとなると意地でも探したくなる性分。 里親サイトを渡り歩き、 ついに一枚の三毛猫の写真に目が止まりました。 「なんだこの子!めっちゃ可愛い!!」 それが第一印象でした。 c281addc-17e5-4b18-9975-31e3c4854a32実際目に止まった募集記事に出ていた写真↑ しかしその里親サイトは岩手県盛岡市のボランティアさんのサイトで、 うちからは遠いし、しかもこんな可愛い子、 もう里親さん決まっちゃっただろうと思いましたが、 門前払い覚悟で問い合わせをしてみました。 するとこれまた意外な事に、 まだ里親は決まっていないとの返事が来ました。 しかもボランティアメンバーのうちの一人のご実家が東京にあり、 近々帰省の予定があるので、 盛岡から東京へのお届けは無理ではないとの事。 「マジっすか!?」 思わず私は心の中で声をあげました。 しかしこの猫、よくよく事情を聞いてみると、 極度に臆病な子で、これまでも譲渡の申し込みはあったものの、 抱っこすると恐怖で失禁してしまうほどで、 四姉妹の他の子はみんな貰われていったのに、 この子だけ未だ行き先が決まらないのだと言われました。 b9f8e102-9322-416c-a0cf-5469db75d15c四姉妹の写真。 一番後ろで姉妹の中でも臆病なのがうかがえる。 b734672a-35c3-46b5-a7cb-ae6dc47742b5イカ耳、しっぽも内側に巻き込んでいます。 「こりゃうちの父親には厳しいか!?」 と思いつつ、一応実家にその話を伝えてみましたが、 やはり父は「猫は嫌だ」との事で、ボランティアさん側も 「そのようなお父様でしたらこの子は無理かもしれませんね……」 と譲渡の話は白紙に。 しかしその三毛猫ちゃんが どうしても気になって仕方なかった私は決心するのでした。 「それじゃ、うちで飼う!!」 と……。
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