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【終章】究極の代償
〜場内〜
起きてる事件の事など、全く知らない会場のファンやWeb配信の視聴者達。
最高のサプライズに、歓喜していた。
ここまでは…。
舞台には、Torch、Red、Faire、Witchの4人。
VTuberの部屋には、その4人が見えている。
会場の明かりがゆっくり薄暗くなる。
皆んな、何かに期待して待つ。
しかし…
「ここで、衝撃の真実を告白します」
マイクを両手で握り、Witchがセンターに立つ。
神妙な気配に、鎮まりゆく場内。
「私の父は」
その一言で、会場を静寂が包み込む。
「日本の医者達の実験台にされ…死にました。他にも大勢の人達が、当時の帝都大学病院の院長と…この国によって…日本医学の進歩という目的で、殺されました」
Witchの表情がアップになり、歯を噛み締めている様が分かる。
「その犯人の娘が、今ここにいるFaireこと、水無月恵美で、あそこにいる帝都女子医科大学病院院長の水無月綺咲が、お母さんです」
スポットライトが綺咲を照らす。
一斉に振り返る客席。
顔を手で覆い、しゃがみ込む綺咲。
「でも、Faireのお父さんと、そこにいるお母さんは、本当は悪くありませんでした。もちろん恵美さんも。お父さんは、難病と闘う患者達を救いたい一心で、治療法や薬の開発をしていたのです」
WitchとFaireの涙が映る。
「帝都大学病院連続殺人事件。この国は、その罪を、たった1人の医師に押し付けたのです。その彼のおかげで、沢山の命が…今…救われています。その恩恵を…まるで医師会と製薬会社、そしてこの国が作り出したとばかりに、平然とやり過ごした奴ら…」
涙のWitchを、真っ赤な炎のプロジェクションが包み込む。
「私はそんな奴らを絶対許さない❗️」
一部で、思わず賛同の拍手が起こる。
目を閉じて鎮まるのを待つWitch。
「だから殺した」
世界が息を…止めた。
「帝都女子医科大学病院で殺した…患者の酒井肇は、あの時の製薬会社の悪玉でした。…そして、医者の内山智之は医師会の犬。だから…私が殺してやった」
さすがに拍手はなく、囁き声が聞こえる。
「でも…他の人達は、私じゃない。私は殺していない。…守りたかった…コイツらから」
〜場外〜
「…えっ?」
「彼女じゃない⁉️」
「コイツら…って?…ウッ❗️」
油断した紗夜の心に、七森の怒りが刺しこむ。
「紗夜さん、しっかりして!」
ラブが思念で、その繋がりを断ち切る。
〜場内〜
「そこにいる…東京メディカル大学病院 院長で、日本医師会会長の橘花深沙❗️」
Witchに指さされ、プロジェクションの矢が突き刺さる。
「そして、帝都女子医科大学病院 院長の水無月綺咲!。先端医療工学大学病院 院長で、日本医療科学研究所 所長の常盤貴子!。国際医療テクノ大学 学長で、国際医療技術振興会会長の鈴橋美由紀!。日本法科大学 学長で、優希法務大臣の妻、羽間瑠璃!。東京ハーモニック学芸大学 学長で、日本信仰協会会長の神貞結衣!」
6人全員を、炎の矢が貫いた。
「オマエ達が、生徒や教授を利用して開発した、バーチャルシンフォニックシステム…いや、ブレインシンクロニックシステムと言うべきか?まぁ…分かり易く言うならば、ブレインオペレーションシステムってやつ❗️」
「な…なぜそれを⁉️」
首謀者の橘花深沙が、思わず反応してしまった。
「友達になった矢坂望美が、愛人関係の羽生教授のボヤきを聞いててね。少し操るだけで、全てを教えてくれたよ。教授がその秘密で、アンタらを脅していたこともね」
「クッ…」
悔しさに歪む深沙の顔が、モニターに映る。
「あっ…そうね。皆さんは何のことか分からないですよね。アイツらが開発したのは…簡単に言えば、バーチャル映像が与える脳への特殊な刺激を利用して、脳を支配するシステムってこと。一度支配すれば、後は簡単。それがパスワードの様に、スマホ画面や音声で自由に体や意識、生体組織までも操れる、神の領域をも超えたシステム」
騒めく客席の反応を確かめる。
「だよね、 Torch。いや…橘花涼音❗️」
それまで動けなかったメンバーが、自由を取り戻し、突き付けられたWitchの指の先を見る。
自由は奪われても意識はあり、その告白の全てを聞いて、見ていた。
「あなたはそのために、このAngel corpseを作った。色々な音色や言葉で、データを集めて試すためにね❗️」
「そんな…涼音、本当なの?」
真面目な風花には、とても信じられない。
「はぁ〜ククッ…母さん、全部バレてたんだって。せっかくここまでやってきたのにな」
「涼音、マジかオマエ❗️」
隠れていたHeavenが現れ、Torchの胸ぐらを掴む。
「おいおい、まてよ。オレにはそんなシステムなんて、どうでも良かった。面白そうだったから、ちょっと頭を貸しただけ。あのバカな連中にな。…クソっ!せっかく苦労して作ったラストソングも、ムダになっちまった。このイカれた魔女のせいで❗️」
別人になった涼音が、華奈を睨む。
「復讐だと…人殺しの魔女が偉そうに言ってんじゃねぇ❗️」
気迫に圧され、手を放して下がる莉里。
騒めきが増す会場。
その衝撃は世界中に広がった。
「ラストソング…残念だったね」
WitchがTorchに微笑み、6人を眺める。
「後少しで、世界中に被検者ができたのに。皆さん、見てますかぁ?Are you looking?你是不是在寻找?。私はあなた達を救ってあげたのよ。I saved you guys. 我救了你们」
両手を広げて、アピールするWitch。
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