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〜場内〜
倒れて起き上がらないWitch。
Torch、Red、Faireは動けない。
Heavenが駆け寄る。
「大丈夫か、華奈?」
「わたしが…お母さんを…殺…した」
と…その時である。
「華奈さん」
「えっ…?」
その声に半身を起こす。
そこに、紗夜がいた。
「あなたは…どうやってここへ?」
「ラブさんに頼まれたから。あなたを、必ず守るようにって。さぁ立って!」
アイがシステムに入り、紗夜の思念をバーチャルの世界で擬態化させていた。
「立て、Witch❗️」
差し出されたHeavenと紗夜の手を取る。
その瞬間。
「ギャァアー❗️」
場内から無数の悲鳴が響いた。
会場の天井に、恐怖がいた。
見る者によって異なる、最も恐れる姿。
それが、華奈と契約した悪魔であった。
その恐怖に負けず、紗夜と莉里の手が、ガッチリと華奈の手を掴んで立たせた。
怒る炎の刃が華奈を襲う。
死を覚悟して目を閉じる。
「バシーンッ💥」
(えっ…)
目を開く華奈。
あの少女が、またしても刃を受け止めた。
その力が、怒りの分だけ増している。
「なんで…なんで助けるの?」
「こんな…こんな低俗な悪魔に、私の悪魔は負けたりしない🔥❗️」
紗夜に宿った、かつての強大な力。
愛する者を傷つけ、無垢な華奈の心を欺いたモノへの怒りが、爆発した💥。
Innocent Hand。
右掌から放たれた眩い光が、それぞれの恐怖を吹き飛ばした。
「あっ…」
腹部から脳髄にかけて、激痛が走る。
「華奈⁉️」
紗夜の姿はもういない。
アイが華奈の部屋のドアを開ける。
「華奈さん❗️」
設備担当の守山が入って来て、華奈を抱き抱える。
「あなた…たは、あの時の…」
「大丈夫、君は必ず助ける」
エネルギー生命体アイの一部が、最後の力を振り絞り、道を先導する。
「ダメ…まだ契約は続いてる…もう止められない」
掠れそうな意識が、ラストの演出の始まりを見た。
プロジェクションで描かれた逆さ五芒星。
その沢山の五芒星が、対象者に当てられた。
最後のドアが開き、アイが消えた。
同時に崩れ落ちる建物。
「私はいいから、あなたは逃げて❗️」
精一杯の声で叫ぶ華奈。
「君は…
オマエは…
殺さない…代償は貰った」
消えゆく意識の中で…
守山の燃える目が、瓦礫に消えていった。
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