【エピローグ】

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【エピローグ】

東京国際フォーラム新宿会館は、無惨にも崩壊した。 しかし…逆さ五芒星が記されなかった者は、奇跡的に生き残った。 死者、522人。 全て開発に関与した者達。 Angelの内、関与しなかった、常盤莉里(Heaven)月島風花(Red)の2人は生き残っていた。 大学にあったデータは、T2とアイが全て消し去り、案の定、データ目当てに派遣された政府の諜報員達は、無駄足を踏んだ。 瓦礫の中に、七森華奈を助けようとした守山、そして、華奈の遺体も発見されなかった。 ただ…2人がいた場所から、あの六芒星のペンダントだけが、見つかったのである。 〜1ヶ月後〜 ヒルトン東京のラウンジバー。 「いつものを2つ」 常盤莉里が、月島風花を連れて来た。 「了解。やっぱりそっち系では?莉里さん」 「バカ💦違うわよ❗️全くやなヤツ…んっ?」 カウンターに、コースターを4つ並べる篠田。 「珍しいね、予約席なんて」 「失礼な…と言いたいですが、初めてです」 「ふ〜ん。ところでそっちはどう?」 ヒルトン慣れしていない風花。 「えっ?あ、あぁ…微妙ね。やっとマスコミは消えたけど、大学ではみんな触れてはいけないって感じで。私は…もともと1人が多かったから慣れてるけど。校外で、Redファンがしつこくて参ってるわ。そっちは?」 「似た様なもんか。私も友達は智鶴だけだったから、気にしてないけど。さすがにあんなヤツでも、母親だったからな。周りは私より複雑だろうなって感じ」 「私は、ファンに応えるかどうするか、悩んでるところなんだぁ…。唯一の趣味だったしね」 「だよな〜。ストレス発散するものが無いのは、正直辛いな」 「はい、お待たせ」 オールド・ファッションが4杯並んだ。 「お二人さん、お久しぶりっと❣️」 莉里の隣に、ラブが座った。 「元気だったか?」 風花の隣には、実の姉の凛が座った。 バーテンの篠田が、カクテルを移す。 「ラブさん⁉️もう大丈夫なんですか?」 「何とかね。かなり危なかったけど、あんな相手はもうゴメンだわ」 「しかし…どうやら、監視されてた様ですね」 「アッハ!さすがIQ230。凛、あなたの妹だけあって、鋭いわね」 「つまり…用件があるってことか」 「負けず劣らず、って慣用句が、この国にはあったわね、ラブ」 「よくご存知で…。莉里さんも優秀だからね。良いお医者様になってくださいな❣️。とりあえず、そんな未来と…亡くなった方達のご冥福に」 グラスを差し出すラブ。 莉里も素直に従う。 「私もついでに」 篠田も加わって来た。 声は出さない。 目を見渡して、うなずくラブ。 「コンコン」「カラン」 厚めのグラスがぶつかる音と、氷の音。 それぞれに、犠牲者の命を惜しみ、讃えていた。 「しかし…悪魔に勝つなんて、ラブさんどんだけ強いんですか?」 風花が、半ば呆れた素振りを見せる。 「私は耐えただけよ。勝ったのは紗夜さん」 「あの不思議な刑事さんね」 興味津々で、うなずく風花。 「それと…七森華奈」 莉里がボソリと付け足した。
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