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第四話
「馬鹿!馬鹿!!最低!最低!!この性悪女!!!」
案の定、ゆりは泣くはめになっていまい、れいこに恨み文句を吐き続けた。
「あら、やだ。涙が出ちゃったのね。」
れいこの行為、それは酷いもので、徳島すみれへのどうしようもない欲望をゆりに押し付け続けた。
ただ、ゆりは実際悪くなかったから、それが彼女のプライドを傷つけたのだろう。
れいこはお得意の勝手な解釈をした。
「何よ!私の事、性処理道具みたいに!!」
「あれ?違うの?」
するとゆりは思い切りれいこにめがけて枕を投げつけた。
「いたっ!!何するのよ!顔にけがでもしたらどうするのよ!!」
「すればいいのよ!!」
ゆりはシーツを引っ張って、そっぽを向く。
仕方ないと、れいこが彼女の首筋にキスすると今度は頬をひっぱたかれた。
「面倒くさい女。」
「貴女はもっと面倒な女よ!!どうせ、また欲しいものでも見つけたのでしょう!?」
睨みながらゆりは言う。こういうことは、れいこと長年いるのですぐに気が付くようだ。
「当たり。すごくいい子見つけたの。」
「さっさとものにして泣かせて捨てたら?」
れいこは、うーんと唸る。
「それじゃあ、つまらないのよね。泣かせるのは当たり前だけれど、それだけじゃなくて。あの子ともっともーっと楽しいことするの。あー。欲しい。絶対にあの子欲しい。早く私のものにしたいな。そして何をしてあげようかな。ふふふっ。」
「いつか貴方、痛い目に見るわ。絶対、神様からの罰が下るわね。」
これっぽっちも信じていないくせに、ゆりの口から「神様」という言葉がでて、れいこは思わず吹き出す。
それに・・・。
罰が下る?そんなもの私が下す方でしょう。馬鹿らしい!!
れいこはさらに嘲笑するのであった。
同刻。
すみれとなおの部屋。
「駄目よ。ミカエル様に近づいては。」
「そんなこと言われても・・・。ミカエル様から・・・。」
「ミカエル様があんた一人のために時間を割くなんて、何か企んでいるのよ。そうじゃないとすみれになんて近づく?」
すみれは下を向いてうなだれる。
「そ、そうよね・・・。私一人のために時間なんて割くわけないよね。」
「当り前じゃないの。」
なおはため息をつき彼女を抱きしめた。そしてすみれの額にキスをする。
「すみれは私が守るからね。あんたは何もしなくていいのよ。何も考えなくていい。」
「うん・・・。わかってる。わかってるよ、なお。」
そう言うと、すみれはなおの胸に顔を深くうずめたのだった。
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