第四話

1/1
前へ
/17ページ
次へ

第四話

「馬鹿!馬鹿!!最低!最低!!この性悪女!!!」 案の定、ゆりは泣くはめになっていまい、れいこに恨み文句を吐き続けた。 「あら、やだ。涙が出ちゃったのね。」 れいこの行為、それは酷いもので、徳島すみれへのどうしようもない欲望をゆりに押し付け続けた。 ただ、ゆりは実際悪くなかったから、それが彼女のプライドを傷つけたのだろう。 れいこはお得意の勝手な解釈をした。 「何よ!私の事、性処理道具みたいに!!」 「あれ?違うの?」 するとゆりは思い切りれいこにめがけて枕を投げつけた。 「いたっ!!何するのよ!顔にけがでもしたらどうするのよ!!」 「すればいいのよ!!」 ゆりはシーツを引っ張って、そっぽを向く。 仕方ないと、れいこが彼女の首筋にキスすると今度は頬をひっぱたかれた。 「面倒くさい女。」 「貴女はもっと面倒な女よ!!どうせ、また欲しいものでも見つけたのでしょう!?」 睨みながらゆりは言う。こういうことは、れいこと長年いるのですぐに気が付くようだ。 「当たり。すごくいい子見つけたの。」 「さっさとものにして泣かせて捨てたら?」 れいこは、うーんと唸る。 「それじゃあ、つまらないのよね。泣かせるのは当たり前だけれど、それだけじゃなくて。あの子ともっともーっと楽しいことするの。あー。欲しい。絶対にあの子欲しい。早く私のものにしたいな。そして何をしてあげようかな。ふふふっ。」 「いつか貴方、痛い目に見るわ。絶対、神様からの罰が下るわね。」 これっぽっちも信じていないくせに、ゆりの口から「神様」という言葉がでて、れいこは思わず吹き出す。 それに・・・。 罰が下る?そんなもの私が下す方でしょう。馬鹿らしい!! れいこはさらに嘲笑するのであった。 同刻。 すみれとなおの部屋。 「駄目よ。ミカエル様に近づいては。」 「そんなこと言われても・・・。ミカエル様から・・・。」 「ミカエル様があんた一人のために時間を割くなんて、何か企んでいるのよ。そうじゃないとすみれになんて近づく?」 すみれは下を向いてうなだれる。 「そ、そうよね・・・。私一人のために時間なんて割くわけないよね。」 「当り前じゃないの。」 なおはため息をつき彼女を抱きしめた。そしてすみれの額にキスをする。 「すみれは私が守るからね。あんたは何もしなくていいのよ。何も考えなくていい。」 「うん・・・。わかってる。わかってるよ、なお。」 そう言うと、すみれはなおの胸に顔を深くうずめたのだった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加