冷たい人々

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 一時間ほど経っただろうか。また、チャイムが鳴った。    僕はインターフォンのボタンを押さないわけにはいかなかった。  なぜなら今日、amazonから荷物が届く予定だからだ。オプション料金をケチって時間指定はしなかったので、何時にくるかは分からない。ゆえに、チャイムを鳴らす者は全て確認しないといけない。 「はい」  僕は通話に応じる。 「NDKです」    一時間ほど前に来た、あの集金人の声だった。  僕はあからさまにため息をついた。 「どうかお願いします」  集金人は言った。 「契約をしてください」 「何度も言っているように、僕はテレビを持っていないんです」 「持っていなくてもいいじゃないですか」 「は?」 「せいぜい、月々二千円ちょっとです。それくらい、私の為だと思って我慢してください」    こいつ、自分が何を言っているのか分かっているのか……? 「名前を教えてください。NDKにこのことを伝えます。テレビを持っていない人間に無理やり契約を迫る迷惑な集金人がいるとね」 「それは困ります。私には大切な娘がいまして――」    僕は通話を切った。  そして最悪な気分でコーヒーを作り、いらいらしながらすすった。
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