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chapter1:repeat
これまで勝手気ままを貫き通してきた。
ガキの頃から喧嘩三昧な俺は当然、たいした学歴なんて持っちゃいない。就いた仕事は、親の仕送りが爆発みてえな怒号とともに止まってから就いた夜職だ。
でもって眠いときはしっかり寝る、食いたいときはしっかり食う、ヤりたいときはしっかりヤる、なんてスタンスで生きてきた。人からすればそりゃロクでなしに映るだろ。そんなの自覚してる。
そんなんでも幸せってもんを受け取る資格はあったらしい。ただ、それは条件付きだったけどなーー
「と……きて。ねぇ、黎人起きて!」
リビングのソファで寝込む俺を呼ぶ声に視界が開く。寝ぼけ眼に映ったのは、純白の肌とよく整ったベージュの前髪。アーモンド色の瞳が瞬きをしている。
「……つ、むぎ?」
「ちゃんとベッドで寝ないとダメ、スーツシワんなっちゃうよ」
「ん……もうちょい寝か、して」
「だめーっ! それより明日の約束忘れないでよ?」
「んー」
「んーじゃないッ」
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