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でも一年半前に会って、やっぱりあんたの話ばっかで楽しそうにしてたわ。
好きなものが全然違うのに、結局合わせてくれるの。本当はすごくまっすぐな不器用さんで……って、笑いながら」
目の奥に熱いものが込み上げてきたのを打ち消すように、俺はコーラを煽った。
「お姉ちゃんのこと、本気で好きなのよね?」
「当たりめだろ、んなこと」
「……漫画みたいに、愛してるって言われるのが夢で、あんたの口から一度聞きたかったみたいよ。
直接言ってあげたこと、ある?」
「……っ」
「無いでしょ。なら言ってあげて」
そう言って机に置いてきたのは四つ折りの紙。開くと住所が書かれてあった。
「これ……」
「お墓の場所。今日、一周忌だった。もしあんたが来たら、お姉ちゃんは……。
約束して、必ず行くって」
「……分かったよ。明日、必ず行く」
思ったより、小さく細い声になっちまった。
「約束よ……」
奏が出てった後は、ひたすら悩んで唸って項垂れた。側から見りゃ、彼女に振られて憔悴してる奴にしか映んなかっただろうな。
分かってんだよ俺だって……いい加減潮時だってことくらいはーー
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