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chapter3:Restart
それからはあっという間で。柔い日差しが入ってきてからすぐ紬は現れた。
「え、どうしたの黎人! 部屋着でこの時間起きてるなんて。仕事あったでしょ?」
「ん、まあな」
「それにこれ、ラナンキュラス!」
「これだけしか集めらんなくて、ごめんな」
「私に、なの?」
「驚いただろ」
「驚くよ! だって誕生日明日だし。こんな」
紬にとって今日はずっと十月二十九日。でも、今日は十月三十日。紬の誕生日だ。
「とりあえず着替えてこいよ、朝メシ作っとくから」
「あぁうん。ありがと」
しばらく経って、仕事前のいつもの格好の紬が戻ってきた。そしてトーストスクランブルを用意したテーブルに二人で落ち着く。
「ねぇ黎人、それも私に?」
「開けてみ。横浜の店で欲しがってただろ」
「えっ嘘、アンティークのキャンドルホルダー! 嬉しいっけど、びっくり。プレバースデー?」
「……なぁ、紬」
「なにそんな改まっちゃって。まさかこんなとこでプロポーズだったりしないよねー?」
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