chapter3:Restart

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「知ってる……」 「だよな」 「私も愛してるから……ずっと」 「じゃあ今日はお祝いだ、な?」 「っ……う、ん」 ーーそして翌日、土曜日の今日。俺は約束通り、紬の墓前で手を合わせた。涙越しに見える夕焼けはやけに眩しくってな。  あれから散々言葉を交わした。ほんとに、たくさん……一生分くらい。だから今朝、紬がいなくても気持ちは保てた。でもこうして墓の前に立つと、なんだかな。  にしても、奏からはこれっぽっちも信用が無かったらしい。ずっと寺の近くで俺を待ってたようで帰りに鉢合わせた。 「ちゃんと、来てくれたのね」 「そんな信用無いか、俺はよ」 「……髪、どうしたの」 「戻した。来週就活あるからよ」 「そう……なんだ」 「心配すんな、ちゃんと言葉も伝えたぞ。までも、愛してるって直接言うのは緊張するもんだな。  あと黙ってたけど。俺たち結婚してたんだよ、実はさ」 「っ……え?」 「知らなかっただろ、はは。事実婚ってやつか」 「何それ……」
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