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「翔太、柏木たちとカラオケ行くんだけど、お前も来るだろ?」
「悪い、今日はちょっと用事があるんだ」
「えーっ。先週も一人で帰っちまったし、何かあったのか?」
放課後、下駄箱の前で声を掛けてくれた篠原と宮脇は、つまらなそうに揃って口を尖らせた。
烏崎駅から帰った翌日から台風が来て、この一週間は雨が続いていた。
ようやく晴れたのだ。もう一度あそこに行きたい。
「いや、何でもないよ。ごめんな。また誘ってくれ」
靴を履き替えた僕は、急いで駐輪場に向かった。
あそこに美咲はいないだろう。
でも、やはりもう一度行きたいと思ってしまったのだ。
それに駅員の最後の言葉も気になる。
もしかしたら、烏崎という場所にいつの間にか僕は魅了されていたのかもしれない。
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