文通ノート

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「おい、翔太。大丈夫かよ」 体育の授業終わり、教室に戻って一息ついた僕の顔を柏木が覗き込んだ。 体育の授業を見学していたからだろう。ここ数日体調が優れない。どこが痛いという訳でもないし、昨日は病院にも行ったが、異常は無かった。 ただ、身体が重くてだるいというのが続いていた。 「最近ずっと顔色悪いじゃん。お前、もしかして俺が言った都市伝説の話、信じてるとかじゃねぇよな。ネットの書き込みでも、烏崎駅に夢中になった人達はみんな生気を失ったみたいになるって——」 「そんなわけないだろ。大丈夫だよ。最近、ゲームにはまっちゃってさ。夜更かしが続いてるだけだよ」 「なぁんだ、そうだったのか。もう心配しただろー。で?何のゲームやってんの?」 何とか誤魔化せたが、やはり周りから見ても僕の顔色はおかしいのだろう。 適当に家にあるゲームの名前を出しながら、柏木や、後から来た宮脇と篠原とありふれた高校生男子のお喋りをしていた。 喋っていると、急に痛みが走った。酷くカサついた唇の端から血が滲んでいた。
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