6.クロッカス

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「あーー、うんそっかぁ。クズな男に限って魅力的な人多いもんね。分かるよ」 心は少し苦しそうに頷きながら言葉を選んで話に乗ってくれる。 こっちの事情を汲み取ってむやみに否定しないところ、好き。 普通ならそんな男やめとけって一方的に言われておしまいなのに。 「仁奈って結婚願望あったっけ?」 「うん、30までには子どもが欲しいから逆算して29までには結婚しないといけない」 「分かる、そろそろ本気出さないとヤバいと思ってる」 「何言ってんの、心はもう玉の輿に乗ったようなもんじゃない?」 「いやー、慎重にいかないと。変な男に引っかかりたくない──」 「お嬢さん方、休憩室のドア開いてるからガールズトークしてたら筒抜けですよ」 心が顔をしかめたその時、不意に佐久間の声がした。 声のした方を慌てて見ると、出入口のドアを締めながら佐久間がこっちに近づいてくる。 え……どこから聞いてたの!?
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