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「とにかく、もし先生が僕みたいな人じゃなくてもっと怖い人だったらもうとっくにお前は地獄行きだからな」
「そうなんですね、驚きです」
もしもの話までしだした。そんなこと言っていたらキリがない。こんな意味のない長い話をするのは、もし私がもっと怖いやつだったら地獄行きだからな。
「ありがとうございました」
「だ、だからすぐに帰るなって……」
そう言われたが、もう話すこともなさそうなので、先生の言葉は無視して廊下に出た。
まだ午後五時頃だが、あたりは次第に暗くなり始めていた。
私は教室へと足を早める。折りたたみ傘を取りにいかなければならない。なぜなら、外は雪が降っているからだ。
久々の雪に、興奮なんかしていられない。寒いし、気温は低いし、それに冷えるしで、今考えただけで三つも雪の嫌なところが見つかった。
そして極め付けは、傘が必要なところ。私は、今から大量のもので溢れかえっているロッカーの中から折り畳み傘を探して取り出すという試練を乗り越えなければならないのだ。
別にロッカーが汚いわけではない。多種多様な品物が揃っているだけなのだ。
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