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ガラガラッ! ガタンッ!
誰もいないと思って教室のドアを勢いよく大きな音を立てて開けたが、教室には一人いた。
「もっと静かに開けてくれ」
「別にいいでしょ」
そこにいたのが、クラス内でよく喋る男子の城崎隼人で良かった。謝らずに済む。私が謝る相手の条件は、物静かな女子であることだ。
城崎隼人がなぜまだ教室に残っているのか気になったが、それよりも早く帰りたかったため、それを聞くことはせず、速やかにロッカーを開けた。
閉めた。
一息ついた。
もう一度開けた。
「志賀のロッカー超汚いじゃん」
「見るなよ」
いつの間にか城崎が私のそばに来ていた。自分でも幻だと思いたかったが、物の入り具合が凄まじかった。
ただ、汚いわけではない。物の入り具合が凄まじいだけだ。
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