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そうこう言っているうちに、黒田……じゃなくて城崎が私のロッカーに入っているものを次々と取り出し始めた。
その取り出したものを、私が戻す。
「おい、何戻してんだよ」
「じゃあ、なんで出してんだよ」
「掃除するんだよ」
「はあ?」
この大馬鹿者のせいで、また下校時刻が遅れることになりそうだ。
「小さいほうきとちりとり持ってこい」
「なんで私が……」
抗議しようとしたが、多分何を言っても意味がない。私も、少しは綺麗にしたい気持ちがあった。まあ、元々汚くはないけれど。
「持ってきたよ」
「掃け」
「なんで私が……」
また抗議しようとしたが、よく考えたら簡単な仕事だ。ここで口論するよりも、黙って城崎の指示に従ったほうが、時間も体力も浪費しない。
ロッカーを掃くと、大量の埃が舞った。
「うわ! きったな……くない」
「汚いよ。いい加減認めろ」
「だから汚くないって言ってるだろ」
「どう見ても汚いだろ」
城崎の指示に従っても従わなくても、口論をすることは不可避のようだ。
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