優しくて知的な彼氏とサークルの合宿中我慢できなくて車でこっそりしたら、優しい彼氏が野獣になってしまった話

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 海の街を千聖の車が走る。夜の海は藍色の空と溶け合って、その境目さえも曖昧だけれど、月が美しい今夜は海の上に一筋の光の道を浮かべていて、とてもきれいだった。思わず歓声の声を上げると、千聖が「綺麗だね」と優しい声で言った。  千聖のグリーンノートが彼の車の中ではよりいっそう強く香る。サークルの皆で千聖の車に乗るときは、理央は絶対に座れない助手席。後部座席から三年生の先輩が座る彼の助手席を少し苦しくいつも見ている。デートのときは理央の定位置なのに、と思うとよりいっそう苦しかった。そして、車に立ち込める千聖の香りを誰にもかがせたくないと思ってしまう。今は彼の助手席に座れているのに、それで満足しなければ。こんな風に嫉妬ばかり理央がしていると知ったら、千聖に嫌われてしまうかもしれないと思っていると、そっと手を繋がれた。  その手があんまり熱かったのでうっかり声をあげてしまいそうになったのを飲み込むと彼が音を出さずに笑った。  そして、いつだって安全運転の彼が、いつもよりほんの少しだけアクセルを強く踏んでいるような気がした。やはりあまりゆっくりはしていられないのだろうか。  車はするりとコンビニの駐車場に滑り込み、ちょっと待ってて、と千聖は言うとコンビニの中に入ってしまった。  一緒にコンビニに入っていつもみたく二人であれこれ選べるかと思っていたのに置いていかれて、少しがっかりしていたが、千聖は驚くほど早く戻ってきた。  お土産、と理央がよく飲むミルクティを手渡される。 「ありがとうございます」  それに少し頬を緩めてしまう。理央は自分の単純さに本当に呆れて笑いたくなった。 「昼間が嘘みたいに冷えてきてる。寒くない?」  千聖の言葉に理央が大丈夫だと頷くと、入って来たときと同じようにするりとコンビニの駐車場を後にした。  来た道をそのまま戻れば十分もせずに宿舎の駐車場に着いてしまうだろう。  それで今度こそおやすみなさいをして千聖と離れなければならない。  時間はゆっくりと過ぎて欲しいと願えば願うほど早く過ぎるもので。  まだミルクティにひとくちしか口を付けていないのに千聖の車は宿舎の駐車場に着いてしまった。先ほどは広い駐車場の中、エントランスに比較的近い場所に停められていたが、今度は駐車場の後ろの方。エントランスからとても遠い場所に車は停まった。  千聖が静かにシートベルトを外した音が車内に響いた。  あぁ、車から降りないとそう思って、のろのろと理央がシートベルトを外す。もうちょっと一緒に居たいと思う理央の気持ちを分かってくれて、コンビニまでのドライブに誘ってくれたのに、これ以上望むのはきっとひどいわがままだ。  かちり、とシートベルトを外すとしゅるり、とベルトは戻っていった。  そんなに早く戻らなくていいのに。と、シートベルトに八つ当たりするように、少しだけ下くちびるを突き出した。 「りお」  名前を呼ばれて顔を上げると、目の前に千聖の端正な顔があった。  いつもより、すこしだけ低くなるトーン。  おやすみのキスをしてくれるのかもしれない。どきん、と胸が高鳴った。 「……ん」  理央が思ったとおり、千聖の唇が重なった。  車の中千聖のグリーンノートが胸いっぱいに広がる。  触れた唇が燃えそうに熱い。角度を変えてなんども、なんども唇を吸われて、舐められる。  いつものおやすみのキスよりずっと激しくて、先ほどは砂浜に押し倒されたときの熱を思い出して、胸の奥が掻きむしられるみたいだった。 「りお……っ」  キスの合間に、狂おしく名前を呼ばれた。もしかしたら離れがたかったのは理央だけではなかったのかもしれないと、甘い喜びがじんわり広がる。  嬉しいと、中々言えない大好きが伝わるように、その見た目よりも随分とがっしりした肩に腕を回してぎゅっとしがみつく。 「んんっ」  そのとき、リクライニングバーが千聖によって引かれたのか、理央の座っているシートが突然フラットになって押し倒されるような格好になった。  驚きの声は唇の中に吸い込まれて、くぐもった音にしかならなかった。  理央のTシャツの裾から千聖の熱い掌が忍び込んできて、それとはっきりわかるほど躯が震えてしまった。 「りお……それ、無自覚なん? ずうっとあんな目で男のこと見たら、あかんやん……優しくできひんやろ……っ」 「あっ……」  がり、と鎖骨の上を噛まれて、乳首をぎゅっと摘ままれた。  痛いのに、なんで。気持ちいい……  近い距離でばちり、と千聖の目と合うと、見たことない男の目をしていて、理央はそれだけでもう頭がおかしくなってしまいそうだった。 「ずぅっと、めちゃめちゃ我慢してた……もう、限界や……」  そう言って、もう一度唇が重なる。痛いくらいに乳首を愛撫されて、舌を吸われる。  飲み込めないくらい唾液をたくさん注がれて、くちの端からとろりと落ちたのに、容赦なくぐちゃぐちゃと掻き回される。 「りお、お尻上げて……」  いつもはとろとろに夢見るように溶かされて、気が付くと脱がされている。恥ずかしいのに、逆らえない。従いたい。  千聖の首に腕を絡めて、震えながら腰を上げると、乱暴にハーフパンツを取り去られた。  千聖の目の前に、先走りの蜜でべとべとに濡れた理央のペニスが露になる。  千聖はそれを見て、ごくり、と獣のように喉を鳴らした。 「りお、いつもより、感じてるん? やら……」  腹の底に響く、獣みたいな千聖の声は、いつもの優しいそれとちがうのに、耳の穴に舌を捩じ込まれながら言われると、気が遠くなりそうだった。 「だっ……だって……千聖さんのこと、俺っ……好きなんだもん。しょうがないじゃん……っ」  快感で震えて上擦る声でそう言うと、千聖の喉の奥から絞り出すような、獣の唸り声のようなものが聞こえた。 「あっ……」  同時に足首を掴まれて、せまいところで、膝が顔の横に付くほど脚を折り畳まれる。  
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