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第2章
オレがシーとともに、この堅牢な赫い三角屋根の木造家屋に移り住んだのは、薄明どきのような桜がいよいよ咲きはじめようとする早春だった。建物にはおおかたの生活環境設備が整っていたため、オレは少量の荷物だけで入居することができた。
この赫い三角屋根の木造家屋は在来工法の建築であったが、すべての壁がコテージのように丸太がそのまま剥きだしになっていた。2階には3階の屋根裏につながる木製の階段が立てかけてあり、6畳ほどの屋根裏部屋があった。三角屋根の頂点には大きな天窓があり、その真下には本格的な白い反射式の天体望遠鏡が備えられていた。この本格的な白い天体望遠鏡をはじめて見たときにオレは、直感的に、祖父が木偶といわれた訳と強いつながりがあるのだろうと感じた。
──オジイサンは、いつも宇宙をみていた
亡き母は、確かにこの本格的な白い天体望遠鏡とつながるようなことをいっていた。
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