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わたしは、わたし達の前世の行方を知りたかったが、なんだか今は知らない方がいいのかもしれない、と思ってしまった。
前世で確かにわたし達は恋をしていた。
今世では、彼は独身を貫き、わたしは2回離婚を経験し、今現在は彼と穏やかな関係を育んでいる。
ならば、きっとわたし達は前世で叶えられなかった恋愛を、今世で叶えるべく出逢ったのだろう。
求める相手を探し出せたということなんだ。
「そろそろ出ましょうか。」
席を立つわたしのワンピースの裾が、椅子に引っかかる。
彼はそっとワンピースが傷つかない様に椅子から離すと、黙ったまま優しい笑顔を見せた。
「ご馳走様でした。美味しかったです。」
「また伺いますね。」
end。
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