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そんなの最初から分かってる。どれだけの高校生が東大に憧れ、目指しているのか。倍率なんてめちゃくちゃ高いし。分かり切っていたことだ。大丈夫、こんなんで俺は負けない。
「東大前 東大前」
本郷キャンパスから徒歩1分の場所にある最寄り駅・東大前が呼ばれた。そこで何人もの高校生たちが立ち上がる。皆、立ち上がった者を一瞥して、それから下車した。全員が下車した所で扉が閉まる。それからゆっくりと先の駅で待つ人々の為に、動き出した。立ち去ろうとする電車をぼんやりと眺めながら、地上に出る階段を目指す。
車両の一番後ろが見えた時、俺は立ち止まった。後ろで突然止まったことに迷惑そうな高校生が俺を少し睨む。俺を追い越してさっさと行ってしまうと、俺はその背中に小さく「ごめん」と心の中で言ってから、微笑を浮かべて歩きだす。
どの電車にも顔つきがあると、前に鉄オタの友達から聞いたことがある。俺は全く電車に興味が無いから、「ふーん」とか「へー」とかしか言わずに聞き流してたが、何度も顔つきの話だけはされたから薄っすらと覚えていた。
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