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返事しないといけない。
「あの、僕――」
「お気持ち、嬉しく思いました。作品を読んでくださったのも、道案内も、何度も訪ねてくださったことも、上がっていかれたのも」
「……何度も?」
気づいてたんだ……
相原さんはこく、と頷いた。
「あの時は……」
顔が近づいた。
「君を怖がらせてしまったのではと落ち込みました。ですが、僕のお返事を受け取りこうして来てくださったということは」
彼の目が僕を射抜く。
「君の想いは、このお手紙に綴られた通りと思って良いのでしょうか?」
「僕の……想い」
考えようとして、胸がいっぱいになった。
わからない。でも……
目をそらさないで、ちゃんと相原さんを見つめ返す。
「……僕は、」
言葉の端を風がさらう。
僕の手に。
そして彼の手にも。
それぞれ、初めて知る気持ちを伝える手紙が握られていた。
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