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「どうぞ。暑いですね」
足を垂らして縁側に座ると、相原さんは氷が揺れるガラスのコップを僕に差し出した。
「はい」
受け取る時、一瞬だけ指先が触れた。
「っ!」
手が痺れた。強めにコップを握って一口飲む。
甘くて弾ける。サイダーだった。
相原さんは僕がそれを飲むのを見ると、それっきりで机に向かってしまった。
胸がきゅっとする。
「……相原さんって」
「はい、何でしょう?」
「……お仕事、何してるんですか?」
「ご覧の通り、字を書いていますよ」
「違う」
つい言い返すと、相原さんは目を丸くした。
「それ仕事じゃないでしょ。手紙だもん」
「ええ、お手紙ですが」
「誰に送るの?」
「僕のことを好きだと言う人です」
「え?」
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