光へ向かう道

手紙

施設の皆さんへ

今日は、お騒がせしてすみませんでした。

何となく僕の事情を知ってる人もいるかもしれませんが、僕の言葉で伝えたくて手紙にしました。

僕は、口がきけない子供でした。
父さんに殴られるたび、母さんに『静かにしないとひどくされる』そう言われてから話さなくなって、母さんが出ていってしまってから声を出せなくなっていました。

父さんに殴られても痛みも感じなくなりました。
泣くことすら出来なくなって、ただ息をしていました。

そんな時、養子にもらわれました。
そこで僕は、自分がしたいことをする事、夢を持つことを教えてもらい、話せるように、笑えるようになりました。
それが嫌だった父さんが、僕の大切な人を傷つけようとしました。
大切な人を守りたくて、今日来た彼にも内緒で父さんと戦いました。
警察にもお世話になりました。

大切な人を守ったつもりでいたけど、そうじゃなかったんです。
僕が一人で抱えてしまったせいで、悲しませてしまいました。

僕の事を大切に想ってくれていたあの人達に、申し訳なくて会えません。
だから、ここにいます。

今日、彼に会ったことで、この一年間見守ってくれた皆さんにも感謝を伝えたくなり、手紙にしました。

これからも、よろしくお願いします。

佐々木光