莞太朗と悌三

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 腕を引いて布団に転がす。  莞太朗は立ったまま服を脱いで全裸になった。  転がったまま悌三はいつものようにじっと見つめてくる。それがいささか恥ずかしいが、男の身体に怯みはしないかと様子を見る。莞太朗の身体はすっかり上を向いている。それも見えているはずだが、表情の変わらない悌三の気持ちを推し量るのは難しい。 「お前ってバイなの?」 「違うと、思う」 「流されてないんだろ? 自分で脱げよ」  悌三はゆっくりとシャツを脱ぎ、少しためらうような間のあと、ズボンと下着を一緒に脱いだ。 「細せぇ…」  一年中、勉強ばかりしている悌三は白く、細い。  仕事をしている時は長袖で手袋をしている莞太朗だが、休日は金を使わない遊びとして、走り込みなどをしているので春でもそれなりに日焼けしている。  重なってみればすごく黒く見えてくる。  悌三の白い胸をそっと撫でる。下半身へと滑らせていくのを悌三も目で追う。黒い茂みのなかに縮こまった白く柔らかいモノと、そそり立つ赤黒いモノ。  悌三が息を飲んだような気がした。 「水泳、続けてるの?」  凶暴化したそれに対してはなく、下半身だけは白いことに気付いただけだった。 「夏に海に行っただけ」 「泳げばいいのに」  そう言って見上げる悌三の無表情が、少し赤らんでいるような気がした。  悌三の手が、莞太朗の割れた腹筋に触れた。 「県大会にも行けなかったんだぜ?」  水泳で鍛えた肉体は今、林業で役に立っている。 「男に誘われたことはないのか?」  悌三は首を横に振った。 「誘われたら流された?」  問い詰めると首を傾げてジッと見つめてくるから、また苛立つ。 「お前のことだからきっ」  悌三の手が莞太朗の頭を引き寄せて、再び唇を合わせた。  これが流されてのことでもいい。もう言ってしまったのだ。せめて良い時間にしよう。  触れても兆すことのない悌三のそれも、秘部をほぐすために指を差し入れたり、莞太朗の分身をいれたりしても変わらない表情も莞太朗の心を傷付けた。 「痛い?」 「大丈夫」  押送を始めると悌三の息も少し上がってきて、布団をきつく握りしめているのが見えて、心配になる。  本当は辛いのをこらえているのだろうと思ってさらに苦しくなった。  それでも普段は呼吸も乱さない悌三の胸が大きく上下するのが、莞太朗の興奮を高めた。
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