莞太朗と悌三

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 悌三の無表情は変わらない。  驚いたのか、驚いていないのか。 「…僕も莞太朗が好きだよ?」  声色は唖然としているようだった。 「お前の言ってっるのは親友としてだろ? 俺はお前とセックスしたいんだ」 「すれば一緒に住んでもいい?」 「できんのかよ?」  悌三は首を傾げ、それから頷いた。  莞太朗は鼻で笑って、手を後ろの畳について斜に構え、悌三をバカにしたように見た。 「てか、俺とも流されてするのかよ?」  悌三はおもむろに立ち上がって莞太朗の側に来ると、莞太朗の顔を間近にのぞき込んだ。 「流されてるんじゃない。僕は莞太朗と暮らすことを選ぶんだ」  酒の味が流れ込んできて、莞太朗は悌三が口づけしてきたことに気付いた。  頭の中で何かが弾けて、堪らず貪った。  悌三の重みを感じて、腕が痺れてきて、莞太朗は体を入れ替えて悌三を畳の上に組み敷いた。  下半身が熱くなってきて、悌三の太股に擦り付ける。  そこで悌三の両手が莞太朗の胸を押した。 「ごめん、勃たないや…」  少しもすまなそうに見えないのが腹が立つ。 「俺が挿れるからからいい」 「そっか」 「いいのかよ?」 「ダメなのか?」 「するならさすがにここじゃまずいだろ」  莞太朗は立ち上がって、玄関の鍵を閉めた。台所に降りて、勝手口の施錠も確認した。広縁にでて、まだ明るいのに雨戸を閉めた。  悌三はそんな莞太朗の様子を半身を起こしてみていた。 「来いよ」  襖を開けると囲炉裏部屋の隣には敷きっぱなしのせんべい布団がある。  ゆっくりと立ち上がった悌三は着たままだったジャンパーを脱いで囲炉裏の側に置いて莞太朗に並んだ。  悌三の方が頭一つ高い。 「ホント、お前ってムカつくよな」  この苛立ちは届かない想いのもどかしさだ。  一生、伝えないつもりだったのに、もうこれで、きっとこの美青年との関係はお終いだ。
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