3.未知との遭遇

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「ごきげんようですって。面白くないですか?」  翌日のアンで、茉莉は奈津子に言った。  二人は作業台に並んで、注文のフラワーアレンジメントをせっせと量産している。 「面白くないわよ。茉莉、あんた何ヤクザのストーカーしてんの」  茉莉の報告を受けた奈津子は、呆れ顔だ。 「ストーカーじゃないですよ。本物のヤクザさんを見たのは初めてだから、気になっちゃって」 「ヤクザさんて。関わり合いになっちゃいけないって言ったでしょうが。売っ飛ばされるよ」 「そんな悪い人には見えませんでしたよ」  茉莉はオレンジのカーネーションを、スポンジにポスポス刺した。この感触が好きだ。 「大体ああいうヤクザはさ、堅気と関わり合いになっちゃいけないって思ってると思うよ」  奈津子はもっともらしく言う。 「それはそうかも。そういう感じでした。プロですね!」 「何感心してんのよ」 「あまり話し掛けちゃ、迷惑ですかね?」 「やめときなさい!」  奈津子がピシャッと言った。俄然興味が湧いちゃったっていうのに。 「まさかと思うけど、好きになったんじゃあるまいね?」 「それはナイです」  茉莉が即答すると、奈津子が胸を撫で下ろした。
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