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「……かもしれんけど、お前、一年も会ってねえし、連絡一つ取ってねえし」
「私、尾藤さんを迎えに行けるようになるまで、会わないって決めてたんです」
「ええ?」
どういう意味だ。尾藤が理解できないでいると、茉莉は言った。
「私、自分のお店始めたんですよ」
「──はっ!?」
「て言うとカッコいいですけど、一人でやってるフラワーアレンジメントのネットショップです。大平硝子のフラワーベースとセットで。親の力ガンガン使ってます」
茉莉はスマホの画面を差し出した。何やらやたらと洒落た花で溢れたホームページだ。聞き慣れない横文字ばっかり踊っていて、尾藤には何のことやらさっぱり分からない。
「正直まだ注文もたいしてありませんけど、都内のアレンジメント専門の花屋でバイトしながら何とか」
「……花屋、やってたのか」
尾藤の視線で察したらしく、茉莉は手をひらひら振った。
「お客さんに会うことがあまりないので、バイト先は手袋可なんです。手荒れもすっかり良くなりました。花束持ってる手の写真撮ったりもしますから、ネイルもしてて。見違えたでしょう」
「……」
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