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その時お店の自動ドアが開いて、茉莉達は慌てて話を打ち切った。笑顔を作る。
「いらっしゃいませ!」
ここは茉莉の職場で、「フローリスト・アン」という。茉莉が暮らす桜丘市では一番大きな花屋で、四季折々の花と植物を扱う。
こじんまりとしたカフェも併設していて、パンケーキの背景に色とりどりのお花をいれて撮るのが「映える」ということで、若い女性に人気だ。
「すみません、花束作ってもらえます? 五千円くらいで」
三十代くらいのOL風の女性が、茉莉に声をかける。
「かしこまりました」
明るく返事した茉莉は、モップを片付け、エプロンで手を拭いた。
「ご用向きは何でしょうか」
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