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あれ、でも、誰かから「静香に気をつけろ」って言われてたような気もしてきた。
「あの夜、義樹が来たときには、計画が完全に失敗に終わったんだと思った。でも、幽霊だったとはね。教室でそれがわかったときには、うれしくて涙が出た。
保険金は、これで安心だって。でも、幽霊は、困る。早く成仏してくれないかなって考えた」
静香は、ずっと天井を見上げて話してる。僕は、「うれし涙だったの?」と悲しくなる。
「幽霊になるのは、この世に未練があるから。そういえば、キスしかしてないなって思って、こうしたらきっと満足して、成仏するだろうって」
「こうしたらって?」
「そしたらさ、突然、あいつ、消えちゃうんだもんな。裸を見ただけで成仏するなんて、やっぱり、あいつ、ピュアだったな。助かったー」
「成仏した?」
「さて、服を着て、お昼ごはんでも食べに行こう。今日は昼間っから祝杯だ。よし、飲むぞ」
そう言うと、静香は服を着て出ていった。僕は、自分の服を握りしめて、後を追った。静香に見えないように。
わかったことは、服を着ていたら、僕は静香に見えるし話もできる。
でも、服を脱ぐと、静香に僕は見えないし僕の言うことも聞こえなくなるということ。
静香はすっかり僕が成仏したものだと思ってる。
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