初めての恋人

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 それは今日の昼の出来事だった。大学の同級生の静香と同じ授業を受けていた。急に当てられた僕は教授の質問に答えられなかった。 「どうも、よくわかってないみたいだな。よし、全員、明日までにさっきの質問に対する答えのレポートを提出すること!」  教授の言葉で、ブーイングが起き、教室の全員が僕を睨んだ。 ーー 「でもねぇ、気にしなくてもいいと思うよ。あの質問に答えられたのは、クラスでも二、三人いるかどうかだから」  そう言う静香は、確実にその二、三人の中に入っている。テーブルの上には、ただ、レポート用紙と筆記用具だけがのっている。それでも、レポートにぎっしり文字が書き込まれている。なんの資料もなしにレポートを書いているということだ。 「あ、静香と一緒にレポートを書こうと思っていたのに、カバンを持ってきてなかった。やっぱり、何かがおかしい。アイスも消えたし。  レポートは、家に帰ってするよ。なんか、記憶がおかしくって、家で落ち着いてからする」 「変な義樹。じゃあ、がんばってね」  家に帰ろうとして、さっき来るときに通った道を歩いていると、途中に警察の立ち入り禁止の非常線が張ってあり、別の道を帰った。
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