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言うべきだろうか? いや、言わない方がいいだろう。そう結論を出し、しらばっくれた。
「なんでだろうね」
僕たちは、静香の部屋に帰った。静香は帰る間中ぶつぶつ独り言を言っていた。愛する僕が死んでしまって、おかしくなったのではないことを祈っている。
そういえば、独り言は彼女のくせだった。
「私、ちょっとシャワーを浴びてくる」
静香の家に着くと、彼女は、そう言ってバスルームへと消えていった。今日は、汗をかくような運動はしていないのに、なぜなのだろうと首を傾げる。することもなくリビングを見渡す。いつも部屋をきれいにしている静香はえらいと思う。
静香が初めてできた彼女だから、他の女の子の部屋なんて見たことがない。僕は一人っ子で姉妹もいないから、新鮮だ。
女の子の部屋は、花柄で溢れていると思っていた。
そんなことはなかった。品数は少ないが、ソファとか、かなり高そうなものが厳選されている感じだ。
「ああ、気持ちよかった」
そう言う静香は大きなバスタオル一枚を脇から下に巻いた状態で出てきた。バスタオルの下からなまめかしい太ももが見えている。
「な、何? そのカッコ」
うろたえる僕に、静香は微笑みかける。
「義樹もシャワーを浴びてきたら?」
「へっ?」
バレてたのか? と素っ頓狂な声が出る。幽霊なのだから、汚れる身体ではないのだが……と思いつつ、バスルームへと急ぐ。
今までキスまでしかしたことがないというのに突然、静香は何を考えているのだろうかとボーっと考えながら服を脱ぐ。そう、何日かぶりに服を脱いだ。
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