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「さあ、あなたも服を脱いで」
彼女の言葉に従って僕は服を脱いだ。
僕が服を全部脱ぐのを見届けた後、突然、フーッと彼女はため息をついて、どかっとベッドに座ると枕元をゴソゴソして、タバコとライターを取り出した。
「あれ、静香、タバコなんて吸ったっけ」
静香は僕の声を無視した。
「はあ、一時はどうなるかと思った」
「どういうこと?」
静香は、タバコに火をつけ、プハーっと白い煙を口から吐いた。
「義樹に保険金をかけて殺したのに幽霊になって現れるんだもんな」
えっ、そういえば、たしかに保険に入った。トランプに負けた罰ゲームで。
これから、恋人になるんだから、私を置いて絶対に死なないで、これは、その御守りって。
意味がわからなかったけど、静香のお願いだったから喜んでハンコを押した。
次に僕が勝ったときには、彼女にも保険に入ってもらったけどね。んー、幽霊になってから、ちょっと記憶が曖昧なところがあるけど。
えっ、でも、今、殺したって言ったよね。
「ネットで殺人を依頼したヤツは捕まったみたいだけど、警察や犯人がいくら調べても、絶対、私にはたどり着けないようにしてあるから大丈夫」
絶対たどり着けないってどうやったんだろうか? それより、静香が僕を保険金殺人なんて、誰かに騙されているんじゃないだろうか。
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