記憶をなくした騎士

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記憶をなくした騎士

 ある夜のことであった。王の都サラゴンに、四つの災厄が降りかかった。たった四人の若者による、王への反逆である。彼らを拘束すべく、秩序の守護者たる“騎士団”が立ち上がった。当時のサラゴン支部長は、セブンという青年騎士だった。彼は、反逆の首謀者を自身の手で討ち取ることで、早々に事態を収束させようと図った。  セブンは、首謀者であるジーニアスとの一騎打ちに臨んだ。しかし奮闘むなしく、セブンはジーニアスの凶刃に倒れてしまった。  一騎打ちに敗れ、セブンは今にも死にゆこうとしていた。そんな彼を唯一看取ってやったのは、四つの災厄、すなわちジーニアスの同志がひとり。驚くほどにセブンと瓜二つな青年であった。 「兄さん!兄さん…!」  青年は涙した。兄の最期を目の当たりにし、今まさに彼は変わろうとしていた。このような悲劇を二度と繰り返させてはならない。この反逆を止めなければならないと決意した。
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