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そう言ってニャンは、セブンの背中を押して強引に着席させた。それからセブンにこう言い聞かせた。
「いいですか。たとえ記憶を失おうとも、セブン様は立派な騎士。王都サラゴンを守護する騎士たちをまとめ上げる支部長として、きちんと……」
「わからないんだよ」セブンは椅子にもたれかかって首を傾げた。「何もわからない。ここで何をすればいいのか。俺はいままで何をしていたのか。それすらも」
「やはり…」ニャンは嘆息をついた。「いまだに何も思い出せませんか?」
「悪い。少しずつでも頑張ってみるから」
そこでセブンは再び席を立った。
「ちょっと皆と会ってくる!そうすれば記憶が戻るかもしれないからさ!」
とニャンに微笑みかけてから執務室を出て行った。
セブンは支部内を闇雲にうろつき回った。それだけで多くの騎士たちから熱い視線を向けられたので、セブンは少々照れてしまった。足取りも自ずと早くなった。そのうち居心地が悪くなり、町中へと出て行こうとした矢先、ロンドという騎士と出くわした。ロンドは騎士団の副団長を務める男である。
ロンドは仏頂面であったものの、彼なりにセブンを気遣って柔らかな物腰で向かい合った。
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