記憶をなくした騎士

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「どこへ行く?」 「ただの散歩です。ここにいるとなんだか落ち着かなくて」  セブンがそっけなく答えたせいか、ロンドはいささか困惑した。 「セブン。記憶を失くしたとはいえ、たいぶ変わったんじゃないか。あの夜から、やたら不真面目になった」 「ジーニアスの乱ですか?」 「ああ。ジーニアスとその一派を単独で撃破したお前の働きは見上げたものだ。私だけでなく騎士の多くや、なによりも騎士団長までもがお前を高く評価している。ただ、その代償として、お前は記憶喪失となってしまった。余程過酷な戦いだったのだろうな」 「あまりよく覚えていません…」 「そうか。じきに回復することを祈ろう。ところで、セブン。その様子だと、やはり支部長の仕事がつまらんのだろう?」  セブンは返答に困ってしまった。とりあえずこの場を凌ぐために「いいえ、やりがいがあります!」と心にもないことを口にした。それを聞いたロンドは口角を上げて微笑した。 「ふっ、どうやらお前は騎士道さえも忘れてしまったようだな。騎士としてあるまじきことだ」 「あぁ、今思い出します…」
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