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ボーダーラインから
2-4──。
二年四組の教室に後ろの出入り口からしずかに入る。引き戸を開くと、室内は外とおなじでまあまあ騒々しい。廊下とボーダーレスで、同級生たちの挨拶や会話の声がそこかしこであがる。
ふわっとする。
暖房がよくきいていて、あたたかい。教室後ろの机と壁のあいだを通って、いちばん端っこにある自分の席へ、小走りで実依は進んだ。
窓から見える寒々しい光景。運動場に風が吹いて砂が舞った。
ハンカチをふたつ折りにして、ネックウォーマーみたいに首の前のほうにだけあてる。そっと、確実に隠れるように。
学生鞄から一時限目の教科書とノートをとりだしたかわりに、マフラーと手袋をそのなかへしまって朝礼を待つ。
これで首の痣はきっとめだたないはず。
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