プロローグ

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 その本能に逆らうように、このドロン学校の創立者は、きつねとたぬきが仲良く、切磋琢磨しあい、交流を深めるために、ドロン学校を作ったらしい・・・。  ・・・まぁ、なんと、平和主義な、穏やかな考えの人だったんだろうかーー。  仲良くしてますよ、なんて、表面上だけだ。  教室では、毎日、こんな風に、不穏な空気が流れてるし、お互い譲ることもない。  心の中では、いつも、こいつらに負けてたまるものか、という闘志に燃えている。  ・・・ーーいいんだか、悪いんだか。  ただ、ひとつ言えるのは、このドロン学校に通っている、というのは森の中でも自慢できることだ。  通えるのは、森中のきつねとたぬきを合わせても、才能のある、ほんのひと握りの者たちだけだ。  だから、大抵この学校の制服を見たものは、羨ましそうにオレたちを見てくる。  ・・・この学校に、憧れるものは多いのだ。  このドロン学校を卒業したものは、人間界に進出することができる。  そう、あの、人間界に・・・ーー。  ドロン学校は、人間に化け、森を守るために働くきつねとたぬきを育てる学校、なのだ。  
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