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プロローグ
・・・・・・ーーーもう、2度と、たぬきとは仲良くなれないと思っていた。
・・・ーーどうしても、あのときを思い出してしまうから。
あいつに逢うまではーーー。
「なぁ、なんでたぬきってあんなに、無神経なんだろうなぁー」
「ほんっと、ぜってぇ、オレ、仲良くなれねぇわ」
ドロン学校の教室で、きつねたちは、口々に喋っていた。
その言葉を聞いていたたぬきたちは、わざと大きな声で喋り返す。
「なぁ、なんできつねってあんなに、ずる賢しこくて性格悪いんだろうなぁー」
「ほんっと、ぜったい、友達になれないわ」
ひとつの教室で、まるで、ケンカでも始まるみたいな、不穏な空気ーーー。
きつねのコン太は、教室の隅の机で、ため息をついた。
こんな光景は、日常茶飯事だけど、聞いているこっちは、不快になる。
・・・・・・ーーー朝から教室の空気を乱さないでくれ。
コン太は、横の窓をガラッと開けて、新鮮な空気と風を浴びて、思わず目を細めた。
・・・きつねとたぬきは、仲良くなれない。
これは本能的なものであって、誰のせい、とかじゃない。
いつも競い合い、けなしあい、ケンカするーー。
・・・ごく普通のことだ。
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