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紙のほぼ中央、二行の横書きで書かれている。
この冴良とはきっと私のことだし、祥太とは幼なじみの祥太のことだろう。
ほかには何も書かれていない。
紙はこれ一枚。表面が少しだけつるつるしていることをのぞいては、ごく普通の紙だ。
一体何のためのメモなのだろうか。
二人の関係性には私が知らないものがあって、それを証明している気がする。だって私たちの名前が書かれているから。何か良からぬ物のような、不気味な存在感が伝わってくる。
お父さんの本棚にあったからには、お父さんが書いたものに違いない。でもだからこそ、この正体を探るのが一筋縄ではいかないことを意味していた。私が生まれる直前に、お父さんは交通事故で亡くなっているのだ。
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