第十五章 懐胎の書

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第十五章 懐胎の書

 風鈴喫茶で一休みしていたアマネは、店内の忍びたちが気になる噂話をしているのを聞いた。 「なぁ、花忍クロハって知ってるか?」 「四里同盟一の男好きとか言われてる奴だろ。俺も一度くらいお相手して欲しいもんだね」 「どうもあいつ、死んだらしいぞ」 「なに!? 死因はなんだ」 「腹上死したって噂さ」 「さすが伝説の色忍は死に様も違うな」  笑う忍びたちの声を背に、アマネは風長の間に向かって走った。 「母様! クロハを殺したのですか!」  アマネはすぐにクロハの死因に思い当たった。  クロハは先日、暗殺任務を失敗した上に正体を見破られたと風の里上層部でも噂になっていたのだ。  間違いなく風長がトカゲの尻尾切りを命じたに違いない。 「いくら次代の風長とはいえ無礼だぞアマネ」  広いテントの中で椅子に座った少女が煙草をふかしている。 「クロハは何年も我が里に貢献してくれていました。それをこんなあっさり殺すなんて」 「あいつの死因は腹上死だ。そんなに気になるのなら花の里にでもいって確かめればいい」
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