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夕暮れの公園で、1人帰ることも出来ずに途方に暮れていた。
行真のバカ。バカバカバカ。
そう言えば、初めて行真とした時も、なんか変だった。
その、まぁ僕と行真は男同士だから、そういう行為は後ろを使う訳だけど。
何だかやたらと後ろの穴を執拗に弄る行真に、僕は思わず音を上げてしまった。
「も……、初めてだけどそこまで弄られると逆に苦しいってば。買って来たローション使お?」
「あ……、そっか、そうだな」
……濡れねーんだよな、って小さく呟いたの、僕は聞き逃さなかった。
「当たり前じゃん。女の子じゃないんだから」
ずっと触られ続けて恥ずかしいのもあったし、それでも行真がそんなことを言ったのがなんだかショックで、悔しくて苦しくて。
「あ……、ごめ………っ、違う、そういう意味じゃ……」
って行真は慌ててたけど、僕は怒って泣いて、枕で行真をばしばし叩きながらバカバカって暴れた。
その後行真が謝り倒して、慰め倒して、宥めすかして、また甘い気持ちにさせて、気持ち良くしてくれて……、それで一応は赦してあげたけど。
思えばあの時、もっと気付いておくべきだった。
胸が苦しくて、涙が出てくる。
行真のバカ。バカバカバカ。
バカわかめ。
全然モテないとか言う癖に、お店のバイトのお姉さんと仲良いの知ってるんだぞ。
……もしかして、あの人なのかなぁ。
行真は、ほんとは女の子の方が好きなんじゃないのかなぁ。
何で僕なんだろう。
好きだった人に、そんなに似てるんだろうか。
時々行真が僕の向こうの何かを見ているような気がするのは、やっぱり勘違いなんかじゃないのかもしれない。
好きなのに。
こんなに好きなのに。
今日も明日もずっと一緒にいるって、毎日約束してくれるのに。
「行真のバカ……」
気付けば公園には誰もいなくて、僕は独りぼっちだった。
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