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「……気持ち良かった?クロ」
同じように肩で息をするクロに問えば、
「ん……」
と恥ずかしげな返事が返ってくる。
愛しくて、可愛くて、堪らずもう一度ちゅ、と唇に触れるだけのキスを落とせば、猫耳が心地良さげにぴょこんと揺れた。
「俺も出した。クロが可愛いすぎて」
細い首筋から伸びるすらりとした肩口に顔を寄せ、甘えるように顔を埋める。
クロの体温や、薄い身体の匂いに、愛しさがさらに募っていった。
ここがリビングだとか、散らかったままのテーブルの上だとか、そんなものは全て見ないふりをしてこのまま眠ってしまいたいくらいだ。
温かな満足感でクロを抱き締める。
ふいに腕の中のクロから、
「ゆくまぁ……」
と切羽詰まった甘え声が聞こえてきた。
「ん? どうした?」
「ここ、凄く濡れてて……」
「は……?」
切ないままの瞳で行真を見上げるクロが、行真の手を導いていったのは、しっぽの付け根の少し下、窄りの部分。……つまり後孔だった。
「何……!? 何で!?」
確かにクロが言うとおり、そこからしっとりとしたものが溢れ出ている。
触れた指先に絡み付き、ぬるぬると滑りを良くする。
その動きがクロを刺激したのか、
「ん……っ」
とまた悩ましげな声が漏れた。
その声と指先の濡れた感覚に、またあらぬ劣情が募りそうになるが……。
いや、待て。
クロはオス。
雄猫の尻が濡れるなど聞いたことはない。
そもそも、尻は出口であって入り口ではないわけで、濡れるはずもなくて……。
いや、自分に経験がないだけで、実は尻も濡れるのか!?
もうさっぱり分からない。
目の前で起きていることは、とっくに自分の処理能力を大きく超えている━━
「ゆくま……ぁ」
パニックになりかけた頭に、クロの甘えた声が響いた。
「身体、まだ熱い……。発情が止まらないの……」
「……っ」
なんという声と表情で誘ってくるんだ、この子は。
同じオスとは思えない。
元々が猫だから?
いや猫だってオスはオスだろう。
思わず固まる行真に構わず、クロはすりすりと身体を寄せてくる。
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