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「どうしよう、苦しいよゆくま……」 「いやどうしようってお前……」 胸に顔を寄せ、クロは切なげな声を上げる。 とはいえ、行真にとってもこの先なんてものは、最早未知の領域だ。 「……」 恐る恐る、指先でそこを撫でれば、クロの身体がびくん、と跳ね上がった。 ……やっぱり確かにそこは、溢れそうなくらいに湿り気を帯びている。 「……オスって普通こんな風にならねーよな」 「わかんない、僕にもわかんない」 また微かに反応を見せ始めている、クロの前の小ぶりなものこそ、正しきオスの反応だろう。 「わかんないけど……。もしかしたら人間にしてくれたついでにかみさまの悪戯したのかも……?」 「……800年生きた猫の計らいがそれって、ちょっとかみさまぶっとびすぎじゃねーか?」 それでも、息を乱し切なげな目で行真を見つめるクロに、次第に行真の身体もまた、熱を帯び始めていく。 それは隠しようもなかった。 「お願い、ゆくま……」 「……」 本当はかなり、どうしていいか分からずに、困惑している。 それでも、瞳の奥底で光るエメラルドグリーンの魔力に吸い寄せられるように、行真はまたクロに唇を寄せていった。 「……先に言っとくけど俺、経験なんてないから」 「僕も。おそろいだね、ゆくま」 「マグカップみたいに言うなよ。 ……とりあえず、痛かったり、なんか違ったら言って」 「ん……」と頷くクロが、四つん這いになりお尻を突き上げた態勢を取る。 「お願い、ゆくま……」 後孔のすぐ上から伸びたしっぽがぷるん、と横にずれて、そこをさらに顕にさせた。 「……この態勢がいいの?」 「え……? 他は知らない」 「その辺は猫らしさが残んだな……」 クロの細い腰に触れた自分の手が、震えているのが分かった。 酷く緊張しているのに、とろとろと蜜を溢すそこを眺めていると、未知の刺激を想像した身体の中心が、再び熱をもたげていく。 なけなしの知識を総動員し、ゆっくりとそこに熱を宛がえば、 「……ん……っ」 とクロの細腰が揺れた。 「痛くないか?」と訊けば、「平気……」と言うか細い声が、白い背中の向こう側から聞こえる。 ぺたんとへこんだ耳や、平気と言いながらも平気じゃなさそうな声から、クロも緊張しているのであろうことが伝わってきた。
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