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頭の次は手を繋がれた。
いつの間にかこちらに目線を合わすように中腰になっていた男が体を起こし、歩き出す。
「ぼく、こっちへおいで、甘いお菓子は好きかい」
「うん、お菓子すき」
俺は幼児か、と心の中でツッコミながらも言われるがまま歩いて行く。
男が鼻息荒く何かを呟く。
小声で「ショタァ…」と聞こえた。
周りにいた大人たちはついて来なかった。
やはりこの男は立場が違うらしい。
「司祭様、その者は次の儀式で？」
「えぇ、また声をかけます」
「かしこまりました」
司祭か。また大層な呼び名だ。
手を取られ連れて行かれたのは、広間を出た先の突き当たりの部屋だった。
見るからに豪勢な室内に、一体どこから金が入っているのかと疑問になる。
商売はしていないというが、もしかしたら人身売買とは別の稼ぎ方があるのかもしれない。
司祭に促されふかふかのソファに腰掛ける。
ふかふか過ぎて体が沈みキョトンとする蓮華に、司祭は柔らかな笑みを浮かべた。
「ショ……坊や、お名前は？」
「蓮華」
「ほう、蓮華か。第6エリアにも一部で咲く花だね。美しい花だ。ただ、泥の中に咲く花だからね。可憐な君と比べると、少し強かが過ぎるかな」
そうして司祭はベラベラと喋りながら、皿に並べたクッキーを目の前のテーブルに置く。
甘いものは特別好きなわけではないが、顔には笑みを貼り付けてクッキーを口に含んだ。
「どう？美味しいかい？」
「おいひぃ」
「ショッタァ…！」
「……」
さっきから定期的にうるさいのだが、コイツの鳴き声か何かなのか。
よくわからないので、取り敢えず無視しておく。
「ねぇ。ここには僕以外にも子供がいるの？」
「あぁそうだよ。近いうちに会わせてあげよう」
隣に腰掛けた司祭がするりと太腿に触れてくる。
不快感で一瞬動きが止まったが、ここでコイツをどうこうするわけにもいかない。
黙々とクッキーを食べるに徹した。
「さっき言ってた儀式って、子供なら誰でもできるの？」
「いや、受けるには簡単な検査が必要なんだ。君は一つ目の検査には合格した。これから二つ目の検査だ。まぁ君ならある程度は譲歩するつもりだけどね」
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