アンドロイドの涙

1/14
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
呼吸が止まった! 身体に稲妻が走った! 少し冷たさが残る春風を頬に感じ、バスを降り歩いていた。 反対側から来る道は駅からの道。その道を一人の男性が歩いて来る。初めての衝撃が身体中に走った。 私の勤務先は主に関東近郊に店舗を持つ中堅食品スーパー。そこでアシスタントストアマネージャーという役職に就いている。 従業員出入り口に入る通路で向かい合わせになった時、男性は私に軽く会釈をして扉に向かって行った。その背中を見ながら、さっきの衝撃を身体から振り払う様にゆっくりと扉に向かった。 扉を開けるとその男性が警備の受付で手続きをしている。横には店の従業員の世話や人事部門の仕事をするシスターと謂う役目の神谷さんが立っていた。 神谷さんが私に気付き 「あっ秋月さん、こちら今日から着任の萩野卓さんです」 今度は萩野さんに向かい 「この店のアシスタントストアマネージャー秋月香苗さんです」 「萩野卓と申します。宜しくお願いいたします」 この人が新プロジェクトで採用された社員か…。 「秋月です、こちらこそ宜しくお願いします」 これが通称アンドロイド萩野君との出合いだった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!