アンドロイドの涙

2/14
前へ
/14ページ
次へ
「では朝のミーティングを始めます」 開店を終え一段落した10時30分。ストアマネージャー、各部のマネージャーと私とのミーティングを行う。ストアマネージャーとは一般的に言う店長だ。 店長が萩野さんを紹介した。 「こちらが今度わが社が新しい形態の店舗を立ち上げる新プロジェクトのメンバーとして採用になった社員の萩野卓さんです」 「萩野卓です!宜しくお願いいたします」 勢いよく立ち上がり両手の中指をズボンの縫い目にピタッと合わせ、クレーム処理の時でもしない様な角度のお辞儀をした。 それにしてももう少し何か言葉足さないかなあ、さっきと同じと思いながら見ていた。 店長が 「これから半年、萩野さんにはこの店で現場を学んで頂きます……萩野さん、もう座っていいですよ」 「あっ、はい!失礼します!」 青果マネージャーが 「緊張しないでいいよ」と言うと皆笑っている。 「では、秋月さん。これからの予定を」 私はこれからの萩野さんの実習計画を伝える。 「まず各売り場に入って頂きます。萩野さんの経験のある精肉を抜かし半月づ青果、鮮魚、惣菜、1ヶ月づつ加工食品部、デイリー食品部、サービス部門でレジ、サービスカウンター、銘店部門を学んで頂きますその後はバックルーム業務をしながら店全体をという順番でお願いします」 一同「はい!」 と声が揃った。その時…。 「ちょ、ちょっと待って下さい」 萩野さんの声が響いた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加