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悲壮感が張りついた表情は、10代の女の子とは思えないほど老け込んで見えた。
キャラメル色に染められた茶髪のショートカットも、若さを主張しているというよりは枯れ葉の表面のようだった。
スマートフォンを握りしめながら震える清美に、香穂は近づいた。
「清美・・・・・・」
そっと彼女の肩に手を置いた。
彼女は虚空を見つめ、スマートフォンを壁に投げつけた。
「悔しいとは思うけど、物にあたっても仕方ないでしょ」
「ほっといて」
「友達なんだから、そばにいるよ」
「一人にしてよ」
清美は子供のようにぷいっと顔を背けた。
「清美があそこまでミスするなんて驚いた。何かあったの」
拒絶を示すため息が聞こえた。
「もっと頑張ろう。次はきっとうまくいくよ」
その瞬間、清美は香穂の手を振り払った。
心臓が縮むほど驚いた。
彼女の睨みつけるその瞳の奥には、怨念を思わせる黒い炎が揺らいでいた。
その二日後、遠藤清美は死んだ。
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